上野駅公園口から東京都美術館方面へ歩いて10分。東京国立博物館の横に「国際子ども図書館」があります。
国立国会図書館法に基づく唯一の国立児童書専門図書館として、国内外の資料を所蔵しており、理念は「子どもの本は世界をつなぎ、未来を拓く!」だそう。
子どもだけでなく、大人も利用できる子ども図書館です。
所蔵資料は、児童図書や児童雑誌、学習参考書や児童向けのDVD、CD-ROM、カルタなどです。平成14年度からは教科書の収集も始まりました。
日本語と外国語の蔵書は、402,337冊。外国語資料は104,037冊あり、21,402冊が中国語・朝鮮語資料です。
レンガ棟とアーチ棟からなる建物には、複数の閲覧室があり、玄関を入って右にある「子どものへや」「世界を知るへや」「おはなしのへや」は、明るく過ごしやすい雰囲気です。
「子どものへや」は、小学生以下を主な対象とした閲覧室で9,000冊ほどの児童書を備えています。部屋のどこで読んでも影ができないよう工夫された照明だそう。
子どもたちとお気に入りの本を囲んで、影ができないなんていいなぁ。もちろん、手暗がりにならないので年配の方にもうれしい配慮です。
韓国語と出あえるのは、「世界を知るへや」。
部屋全体がやわらかな照明で満たされていて、とても落ち着きます。
「世界を知るへや」には、世界の国や地域の地理、歴史、文化等を紹介する本が2,000冊ほど並べられています。子どもたちが世界に興味や関心を持ち、国際理解を深められるようにと選ばれた本は、自由に手に取ることができます。絵本だけでなく、絵や写真が豊富な学習図鑑が多くあるのも特徴です。
韓国旅行に行ったとき、花や虫の名前が知りたくなることはありませんか。
入道雲を見て韓国語で何と表現するのか気になったり、韓国の方だったらどうするのかなと、ちょっとした場面で思ったり。
この図書館には、子どもの質問だけでなく、大人たちの質問にも答えてくれそうな本がたくさんあります。ページを開くだけで韓国や韓国語が身近に感じられるのが不思議です。
お隣の国だけでなく、遠く離れた国々の本と読み比べができるのも魅力かもしれません。
本の知識を深めたいときは、2階へ。
「児童書ギャラリー」では、明治以降の日本の児童文学史、絵本史を概観できる資料を直接手に取って読むことができます。常設展示では、明治から現代までの児童書の流れを追うことができ、さまざまな興味もわいてきます。
また、室内の端末では「絵本ギャラリー」をはじめとする電子展示会や「国立国会図書館デジタルコレクション」が見られます。
外国語に翻訳刊行された日本の児童書情報を探すこともできるので、気になる本がどのように韓国語訳されたかを調べるのにも役立ちます。韓国語表現の幅を広げるためにも活用できそうです。
図書館の魅力は、所蔵資料の豊富さに加えて、建物全体の美しさにもあります。
現在、「レンガ棟」と呼ばれるルネサンス式の建物は、1906(明治39)年に帝国図書館として建てられ、1929(昭和4)年に増築されたものです。戦後、帝国図書館は国立図書館と名称が変わり、1948(昭和23)に国立国会図書館が創設されてからは、分館の役割をしてきました。
韓国語と出あえる「世界を知るへや」は、帝国図書館時代に貴賓室として使用されていた場所。天井の漆喰装飾(鏝絵)や寄木細工の床板などの美しい内装は、当時の華やかな様子を伝えてくれます。すこし贅沢な空間です。
玄関近くの「大階段」は、1階から3階までが吹き抜けの大きな階段です。
装飾が細やかな階段の手すりやケヤキの扉は、100年以上前から使い続けられているそう。天井に見える真鍮と乳白色のガラスシェードでできた照明は、創建当時からただひとつ残るシャンデリア。明かりをつけていないのに、なぜかあたたかな光を感じる可愛いらしい照明です。
レンガ棟は、時代の役割に合わせて改修を繰り返してきました。
近年、その多くを修復し、創建当時の美しさを今に伝えています。
ご紹介した場所だけでなく、廊下の柱や壁にも見どころがたくさんありますので、受付にある「国際子ども図書館の建築(パンフレット)」をぜひ開いてみてください。
また、館内案内は各国版がそろっていて、韓国語版もあります。読書の合間に、ハングルを紐解きながら館内探検も楽しいです。
国際子ども図書館では、特別展や講演会などが開催されています。
ご興味のあるテーマの時に、訪れてみてはいかがでしょうか。
*国立国会図書館 国際子ども図書館
〒110-0007 東京都台東区上野公園12-49
国際子ども図書館のホームページから国立国会図書館の検索データにアクセスもできます。自宅で調べておき、図書館で手にする楽しみも。
*ちょっと寄り道
国際子ども図書館の帰りには、近隣散策がおすすめです。
特におすすめは、東京国立博物館。本館前には、朝鮮の石像があり「朝鮮時代の王や両班の墓を守るために造られた羊や文官」たちが私たちを出迎えてくれます。
韓国文化に触れるなら東洋館へ。「東洋美術をめぐる旅」をコンセプトに、中国、朝鮮半島、東南アジア、西域、インド、エジプトなどの美術や工芸、考古遺物を展示している建物です。
韓国・朝鮮文化の展示室は5階。写真OKの展示品が多く、その美しさはInstagramへのUPにもぴったりです。
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