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こころにお休みを ― 金東鳴「내 마음은」と「こころ」

■2019/08/28 こころにお休みを ― 金東鳴「내 마음은」と「こころ」
 夏休みはいかがお過ごしでしたか。
8月も終わりが近づくと、少しだけこころにお休みがほしくなりませんか。
 
そんな皆さまに、シンガーソングライター 沢知恵さんの歌「こころ」をお届けします。
沢知恵さんは、日本、韓国、アメリカで育ちました。
今までに28枚のアルバムを発表、第40回日本レコード大賞アジア音楽賞受賞されており、「日本語をもっとも美しくうたう歌手」と評されています。
 
彼女の代表曲のひとつが「こころ」。
金素雲(김소운)が日本語訳した金東鳴(김동명)の詩に、沢さんがメロディーをつけたものです。これまで夏川りみ、クミコ、持田香織、アン・サリーら多くの歌手がカバーしてきました。
 
金素雲は、先日ご紹介した朝鮮民話選『ネギをうえた人』の著者。沢さんのおじい様でもあります。
まずは、「こころ」を韓国語と金素雲の日本語でご紹介します。
 
내 마음은 ― 김동명
 
내 마음은 호수요,
그대 노 저어 오오.
나는 그대의 흰 그림자를 안고, 옥 같이
그대의 뱃전에 부서지리라.
 
내 마음은 촛불이요,
그대 저 문을 닫아 주오.
나는 그대의 비단 옷자락에 떨며, 고요히
최후의 한 방울도 남김없이 타오리다.
 
내 마음은 나그네요.
그대 피리를 불어주오.
나는 달 아래 귀를 기울이며, 호젓이
나의 밤을 새이오리다.
 
내 마음은 낙엽이요,
잠깐 그대의 뜰에 머물게 하오.
이제 바람이 일면 나는 또 나그네같이, 외로이
그대를 떠나오리다.
 
こころ ― 金東鳴(訳:金素雲)
 
わたしのこころは湖水です
どうぞ 漕いでお出でなさい
あなたの白い影を抱き
玉と砕けて 舟べりへ散りませう
 
わたしのこころは灯火です
あの扉を閉めてください
あなたの綾衣の裾にふるへて
こころ静かに 燃えつきてあげませう
 
わたしのこころは旅人です
あなたは笛をお吹きなさい
月の下に耳傾けて
こころ愉しく 夜を明かしませう
 
わたしのこころは落ち葉です
しばし お庭にとどめてください
やがて風吹けば さすらひ人
またもや あなたを離れませう
 
沢知恵さんの日本語が美しいといわれるように、金素雲の日本語もまた美しい。
「내 마음은」を「わが心は」「私の心は」とせず、「こころ」としたところは興味深いです。   
 
金東鳴は、日本の植民地時代から現代を生きた人物です。
民族の悲しみを斬新な比喩であたたかく包み、重ね合わせた詩を残しました。代表作「파초(芭蕉)」「내 마음은」のほか、詩集には、『나의 거문고(私のコムンゴ※)』『파초(芭蕉)』『하늘(空)』などがあります。
 
「내 마음은」は、金東鳴が38才(1937)のとき 『조광(朝光)』に発表した作品です。
前半で情熱的な愛を歌い、何の飛び石もなく後半では哀傷的な愛を歌っています。前後半の変化は、心の状態によって大きく受けとめ方が違ってくるはずです。
 
まずは、沢知恵さんの歌で味わってみるのはいかがでしょうか。
メロディーはやさしく、詩は現代語訳。こころに少しお休みをいただけるような、自分の内なる声と向き合うことができるような曲かと思います。
 
ハングルを学んでいる方なら、韓国語でも。
韓国では、歌曲となり親しまれています。その流麗な旋律と前後半の自然な調和が美しい作品です。(「내 마음은」作詞 김동명 作曲 김동진)
 
沢知恵さんの「こころ」も韓国歌曲も、YouTube 動画でご覧いただけますのでぜひ。
*沢知恵オフィシャルサイトhttp://comoesta.co.jp/index.html
 
※거문고(コムンゴ)
琴の一種。弦が6本あり左手で弦を押え、右手で持ったスルテ(술대)という棒で弦を弾いて演奏します。音域が広いのが特徴で重厚な音が心にずっしりと響きます。



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