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『タクシー運転手』が人気!“ 5.18 ”を映画と本で知ろう

■2018/05/22 『タクシー運転手』が人気!“ 5.18 ”を映画と本で知ろう
 韓国映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』が、日本公開となりました。
韓国では2017年8月に公開され、1200万人を動員した2017年No.1ヒット作。
1980年の「5.18光州民主化運動」がモチーフです。
 
日本では、4月21日から全国ロードショー。
歴史に忠実な部分とハプニング満載の演出。人気俳優のソン・ガンホ(송강호)らが作品の魅力を深め、新宿の映画館では公開1週間をすぎても立ち見が出たそうです。
 
ソウル韓国語学院では、毎年行っている韓国体験旅行の最終日。昨年、夏のソウルで『택시운전사(タクシー運転手)』を見てきました。
私たちの感想はそれぞれですが、旅一番の思い出になるほど、すばらしい映画でした。
 
見終えたとき、“사람은 무엇으로 사는가?”(人は何で生きるのか)、“어떻게 살 것인가?”(どう生きるのか)という課題を投げられたように思います。
光州事件ともいわれた5.18光州民主化運動を、私たちは知る必要があるのではないか。映画を見てから、その思いを強くしました。
 
5.18光州民主化運動をモチーフとした作品は、『タクシー運転手』のほかにもたくさんあります。
日本語訳されているものも合わせてご紹介します。
 
≪영화・映画≫
*『스카우트(スカウト)』김현석(キム・ヒョンソク)監督 2007年
https://www.youtube.com/watch?v=uDdrpFrWL-c
 
1980年5月8日、大学野球部でスカウトを引き受けたホ・ジャンは光州に行く。
ジャンルはコメディ。しかし、歴史を象徴するキーワードが満載。
テーマの野球は、3S(Sex,Screen,Sports)政策を想起させる。
‘3S政策’は、当時の政権が人々の関心を政治からそらす為に奨励したものだ。
主人公がスカウトとなる時期が、抗争期間と同じだという点も奥深い含みがある。
登場人物のせりふや立場ひとつとっても意味深長な作品。
 
*『화려한 휴가(派手な休暇)』김지훈(キム・ジフン)監督 2007年
https://www.youtube.com/watch?v=a8sDI8TPYnQ
 
光州の平凡な市民が、国家暴力に対抗して銃を向ける過程を追う。
映画の題名「화려한 휴가」は、5・18当時光州に投入された戒厳軍の作戦名でもある。680万人の観客を集めた人気作だ。
“계엄군이 쳐들어오고 있습니다. 광주 시민 여러분, 우리를 잊지 말아 주십시오!”
 (戒厳軍が攻め込んでいます。 光州市民皆さん、私たちを忘れないでください!)
抗争最後の日の明け方、登場人物の一人が空っぽの道路で叫ぶ。
これは実際に、戒厳軍が最終鎮圧のため全南道庁へと向かった5月27日の明け方、光州のあちらこちらで鳴り響いたという。
「私たちを忘れないで」なんと悲しい叫びなのだろうか。死んでいくのも生き残るのも辛く悲しいことを教えてくれる。
 
*『박하사탕(ペパーミントキャンディ)』이창동(イ・チャンドン)監督 1999年
https://www.youtube.com/watch?v=oZ35IIG4L3A
 
九老公団の夜学に通った平凡な青年ヨンホは、光州の戒厳軍に投入される。わけも分からないまま市民に銃を向け、こん棒を振り回し、そこから彼の人生が歪みはじめる。
政府は、5・18民主化運動を鎮圧するために戒厳軍を投入。警察の代わりに前面に出た一部の軍人たちは、自身の意志と関係なく加害者の役割を遂行しなければならなかった。
ヨンホの人生は、逆時系列的に流れていく。加害者も被害者も歴史の犠牲者だった。
 
 
*『꽃잎(花びら)』장선우(チャン・ソンウ)監督 1996年
 
5.18民主化運動でお母さんを失った少女は、精神分裂病になった。
みすぼらしい姿の少女が流れ着いたのは、ある工事現場。そこで働く労働者の男についてまわる。虐待を繰り返す男のそばを彼女は離れない…
1996年に上映されたこの映画は、5・18民主化運動を全面に扱った初めての映画として知られる。実際に光州の錦南路で撮影され、犠牲者の遺族と光州の学生など数千人がデモ隊や戒厳軍の役で出演した。
5・18当時、光州関連印刷物を配布して捕まったチャン・ソンウ監督の作品。
 
≪책・本≫
죽음을 넘어 시대의 어둠을 넘어(死えて時代えて황석영(ファン・ソギョン)ほか 2017年(改訂版)
 
5.18民主化運動の10日間の惨状と抗争を総体的に整理したドキュメンタリー。
1985年の初版当時、5.18の真実に渇望した人々に大きな衝撃を与え、「地下ベストセラー」といわれた。
光州市民の見解と証言を全て入れようと努力した作品。今回の全面改訂版で、最近公開された戒厳軍の軍事作戦内容と5・18関連裁判結果を反映した。
 
*『소년이 온다(少年がくる)』한강(ハン・ガン)著 2014年【日本語】
https://www.youtube.com/watch?v=ks72L8_HXTM
 
2016年『채식주의자 (菜食主義者)』でブッカー国際賞を受賞したハン・ガンの小説。
5・18当時の友達の死を目撃した中学生ドンホ、労働運動をしてブラックリストに上がった後、光州に影のように入り込んだ女性紡織労働者、死体を片づけるために病院と道庁舎を行き来する女子高生… 
5.18以後に崩れた犠牲者の人生を繊細に描き出し、残された私たちに歴史的記憶を喚起させる。
 
この作品は、日本語訳も出ているのでぜひ。
・『少年が来る』クオンCHEKCCORI BOOK HOUSE / 新しい韓国の文学シリーズ 2016年
 
*『오래된 정원(懐かしの庭園)上・下』 황석영(ファン・ソギョン)2000年【日本語】
 
70年代末、軍部独裁に反対する地下組織活動をしたオ・ヒョンウは5.18民主化運動以降、逃避生活をしていた。その生活を助けた美術教師ハン・ユンヒと愛に陥る。
古くなった庭園で2人だけの時間を持つのであるが、オ・ヒョンウは検挙されてしまう。18年間の獄中中生活を終えた彼は、ユンヒを訪ねて行くのだが…
 
80年代以後に激動した韓国社会と社会主義圏の崩壊を根幹とする世界史的な変化を背景に、若い二人の男女の人生と愛を感動的に描いた長編小説。
作家が獄中生活で構想した作品で、동아일보(東亜日報)に連載された。
 
 
この作品は、日本語訳も出ている。
・『懐かしの庭(上・下)』岩波書店 2002年
図書館にあることも多いのでぜひ。2006年には、チ・ジニの主演で映像となり、すでにDVD化(2008年)されている。日本語タイトルは『なつかしの庭』。
小説とは描き方が違うので、比べてみるのも楽しい。
 
*『봄날(春の日)1~5巻』 임철우(イム・チョルウ)1998年
 
5.18民主化運動25周年に企画された「TV 책을 말하다(TV本を語る)」お勧めの本。
5月20日、錦南路でK日報光州駐在記者のキム・サンソプを追うところから始まり、Kカトリック教会での光州市民が民主闘争会議のアピールを読むまでを描いた。
作家自身が、直接目撃した光州。自ら語っても信じてもらえず執筆を決め、脱稿まで16年の歳月が流れた。
 
≪웹툰・ウェブ漫画≫
*『26년(26年)』강도영(カン・ドヨン・강풀)
http://cartoon.media.daum.net/webtoon/view/kangfull26
 
戒厳軍に参加し、やむを得ず人を殺さなければならなかった大企業会長キム・カプセ。
5.18民主化運動の被害者らと力を合わせ、当時の最高司令官の暗殺しようとする。
邸宅への侵入など数々の計画を立てるが、すべて失敗。
司令官とのやりとりは、歴史から学ぶものとは何かと考えさせられる。
2012年に1~3巻を出版。後に映画化された。
 
*『100도씨(100℃)』최규석(チェ・ギュソク)【日本語】
http://www.610.or.kr/board/data/view/76
 
大学に入学して5.18民主化運動を知ったヨンホが、パク・ジョンチョル拷問致死事件を体験して学生運動に飛び込むことになる過程を描く。
「社会を良い方向に変えようとする戦いがことごとく挫折したとき、どうやって頑張り続けられるのか」という問いに対し、活動家は「水は100℃になると沸騰するが、世の中の温度の変化は温度計で測ることはできない。だから、今が99℃だと信じながら頑張るしかない」と語る。
 
「革命」において避けられない暴力や若い世代と前世代との軋轢、そして運動と個人の生活の葛藤など、多くの課題を投げかける。
民主主義の基礎を作った6월 민주항쟁(6月民主抗争)に新しい光を当てた作品。
2009年に出版されると数多くの学校の推薦図書に選ばれ、ベストセラーとなった。
 
この作品は、日本語訳も出ているのでぜひ。
・『沸点』 ころから株式会社 2016年
 
最後に『タクシー運転手』
1980年5月、ソウル。
“광주? 돈 워리, 돈 워리! 아이 베스트 드라이버”(光州? 問題ない、問題ない、私はベストドライバー)
家賃を滞納しているタクシー運転手のマンソプ(만섭:송강호)。
外国のお客様を乗せて光州に行けば、家賃分の大金を手にすることができると聞きつけ、ドイツ人記者ピーター(피터:토마스 크레취만)を乗せて光州に向かう。
ピーターは、「事件があるところならば、どこにでも行く」記者だと淡々と話す。
検問をうまくすり抜けながら、何とか光州についたマンソプとピーター。
マンソプは、ただならぬ状況を察知し、ソウルに帰ろうとピーターに伝えるのですが…
 
韓国が大好きな人だけでなく、映画好き、歴史好き、迫力ある映像を見たい人にもおすすめです。もちろんハングルの勉強にも!
ぜひ、大きなスクリーンでご覧ください。
http://klockworx-asia.com/taxi-driver/
 
※写真:『택시운전사』公式チラシ



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