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徳冨蘆花と一幅の掛け軸 -日本の中の韓国散歩

■2017/05/16 徳冨蘆花と一幅の掛け軸 -日本の中の韓国散歩
 京王線千歳烏山駅から15分ほど歩くと蘆花恒春園につきます。
その中にあるのが、徳冨蘆花記念館。明治時代、熊本に生まれた小説家 徳冨蘆花(1868~1927)が暮らした場所です。
蘆花は、同志社中退後、民友社の記者となり、小説『不如帰』、随筆小品集『自然と人生』を発表しました。のちにトルストイに心酔し、晩年は自然とともにある生活を送りました。
 
この記念館に、韓国と日本にかかわりのある安重根(안중근)の書があります。
安重根(1879~1910)は、朝鮮の独立運動家です。日本の朝鮮侵略の動きに対し、1907年ごろから義兵運動を展開し、1909年、ハルビン駅で初代韓国統監伊藤博文を暗殺、翌年処刑された人物。ソウルの南山に記念館があり、訪れた人もいらっしゃるかもしれません。
 
なぜ、ここに彼の書があるのでしょうか。
蘆花は1913年、九州から満州、朝鮮半島を旅しました。この書には旅の途中、旅順小学校の菱田正基氏から譲り受けたと自ら寄せ書いています。菱田氏は、蘆花小説の愛好者でした。
ここまでの経緯については、わかっていないことも多いそうですが、蘆花が大切にしてきた理由のひとつには、兄への反発心が深くかかわっているといわれています。
 
蘆花の兄、評論家の徳富蘇峰(1863~1957)は、自由民権運動に参加。のち民友社を設立し「国民之友」「国民新聞」を発刊、平民主義を主張。日清戦争後は政府と結んだ人物です。
1910年、政府は朝鮮総督府設置とともに、国民新聞社の徳富蘇峰を監督に迎え『大韓毎日申報』を買収。改題して同年10月「毎日申報」を創刊(1924年分離独立、38年「毎日新報」と改題)し、「朝鮮日日新聞」と並ぶ二大新聞として日本支配の終焉まで発刊しました。
 
蘆花は、兄である蘇峰の「朝鮮での華々しい活躍」が好きになれなかったそうです。
第一次大戦後に世界一周をし、各地の実状を目のあたりにした蘆花にとって、我が国の進み始めた方向に危うさを感じたのかもしれません。帰国後、独自の国際平和提言をパリ講和会議の首脳陣に送ったことからも、その思いを量ることができます。
 
後に一幅に仕立て上げられた書。ここに安重根は8つの文字を選びました。
貧而無諂 富而無驕 (貧しくして諂うことなく、富みて驕ることなき)
 
これは、論語の第1章「学而第一」の第15節。孔子と弟子である子貢との問答に出てくる言葉です。
「貧しくてもへつらうことがなく、豊かとなってもおごることがない」とは、簡単に出来ることではなく。だからこそ、深く美しい言葉です。
 
第15節では、孔子が「可也 未若貧而樂 富而好禮者也」、弟子は詩経を用いて「如切如磋 如琢如磨 其斯之謂與」と問答は続きます。
 
「貧しくてもへつらうことなく、学問を好み
豊かとなってもおごることなく、礼を全うする
詩経でいうところの、切磋琢磨だ」
 
彼の書を前にすると、8文字の先にある詩経の言葉が見えるような気がします。私たちに伝えたかったのは「何事においても、自分をより磨き上げること」なのかもしれないと、ふと思い浮かんだ時間でした。
 
蘆花記念館は、開門と同時に訪れるのがおすすめです。門を入ると熊手で掃き清められた小石が、波のように美しいまま記念館に導いてくれます。
窓口には韓国語のパンフレットも用意されていますので、ハングル教室に通っている方は手にしてみてください。
 
*蘆花恒春園
記念館には、『不如帰』『順礼紀行』『寄生木』をはじめ、蘆花文学の初版本、直筆の水彩画、トルストイの手紙など貴重な品が展示されています。庭園も広く、季節ごとにその彩りを楽しむことができます。
京王線芦花公園駅からも近いので、「世田谷文学館」も含めた文学散歩もおすすめです。
 
*世田谷文学館
茨木のり子展や韓国文化週間の企画展を開催した実績があります。ソウル韓国語学院の金裕鴻先生も茨木のり子展で記念講演を行いました。韓国の言葉も大切にしている文学館です。


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