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おいしいもので辞書を疑う?!-韓国体験旅行 鬱陵島

■2017/09/29 おいしいもので辞書を疑う?!-韓国体験旅行 鬱陵島
2日目は、旅のメイン鬱陵島にフェリーで向かいました。
浦項の旅客船ターミナルから、3時間半の船旅です。
 
鬱陵島は韓半島の東、東海に浮かぶ島です。
水の透明度は抜群で、どこまでも深く青い海が目の前に広がります。
島の中央には韓国100名山の성인봉(聖人峰)があり、登山客も多く訪れています。
 
鬱陵島の名物には、따개비칼국수(タケビカルグクス)、홍합밥(イガイ飯)、울릉약소(薬牛)と오징어내장탕(イカの内臓汁)、오징어물회(イカのムルフェ)などがあります。ソウルでは食べられない味に期待が高まりました。
 
それでは、2日目の朝ごはん따개비칼국수をご紹介しましょう。
韓国観光公社の日本語案内によると「鬱陵島に行ったら必ず食べたい名物料理です。フジツボカルグクスを頼むと、親指ぐらいの大きさのフジツボがいくつも入っています。フジツボの内臓を入れて煮込んだスープや山菜を混ぜ込んだ麺はほんのり緑がかっており、一口食べると口いっぱいに海の香りが広がります」とあります。
 
タクシーで訪れた店は、私たちがこの日はじめてのお客様のようです。
注文すると数種類のおかずとともに熱々のカルグクスがやってきました。カルグクスは、打ったままの麺を茹でずに湯に入れて煮込んだのかスープにとろみがあり、むき身になったタケビらしき貝とワカメ、カボチャが入っています。
 
そのうちメンバーの一人が、「富士山みたいだ」とスープから貝を取り出しました。1.5センチほどの貝殻は、うっすら雪のかぶった富士山のような形で、身はトコブシに似ています。
 
ここでちょっと疑問が…
 
日本で食べられているフジツボは、山の上が噴火しているような形で、噴火口を引き抜くと身はカニに似ています。でも、カルグクスに入っている貝殻には噴火口がない…
何か違うなぁと思っていると、お店の方の「小さなアワビです」という声が聞こえてきました。
 
そうか、フジツボではないんだ!
でもなんで「フジツボカルグクス」と訳されているのかな。
 
日本に戻り韓日辞典をあらためて引いてみましたが、따개비の意味はフジツボとあるのみです。韓国の百科事典を見てみても、私たちの知っているフジツボの写真が載っているだけでした。「따개비=フジツボ」という日本語訳は、間違いないようです。
 
では、鬱陵島の따개비ってなぁに。
 
そこで、カルグクスの中から出てきた貝を思い出しながら、学術名をヒントに探してみました。
どうやら私たちの食べた貝は「진주배말(ベッコウガサ)」といい、日本でも多くの地域で食べられているそうです。鳥取、島根が主な産地で、塩茹でにしたり海鮮汁や炊き込みご飯にしたりするとおいしいとのこと。
 
日本でも海産物って地域によって名前が違ったりしますよね。
この貝も진주배말のほか、배말、나박、따개비、꾀꼬리、딱개비などと呼ばれているそうです。たまたま따개비がフジツボと同じ表現だったので、ややこしくなっちゃった!
 
そういえば、韓国語教室で紫陽花をテーマに作文を書きたくて、辞書で調べた자양화を使ったところ、「수국を使うほうが自然です」とご指導いただいたことを思い出しました。
辞書でたどり着いた単語って、間違えではないけれども、なんだかしっくりいかないこともありますね。現場から学ぶことは本当に多いです。
 
さぁ、次の現場捜査へ!
ハングルを学ぶ教室も現場のひとつと考えて、見て、知って、疑問を持って、現場関係者に捜査していきたいと思います。もちろん関係者って先生と私たちです。
 
*따개비は、「カサガイ目ヨメガカサガイ亜目ヨメガカサガイ科」に属しています。
岩に笠がかぶっているように見えることからついた名前で、日本ではヨメガカサガイ科のうち、アミガサガイ、ベッコウガサ、マツバガイを食用としています。
産地周辺では市場に出回りますが、岩場で簡単に採れるので、漁師が扱うというよりも自分で採取して家庭で楽しむものだそうです。
日本でも地域によって呼び名が違い、わかっているだけでもひとつの貝に30近くの名前があります。それらはざっくり「磯もの」とも呼ばれています。
ちなみに、鬱陵島で見た貝は、マツバガイに似ていましたが、学術名から探したところベッコウガサにたどり着きました。どちらも磯ものだからいっしょかな。
 



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