時に悲しみに寄り添い、時に希望を与えてくれる星。
古くより人々は天空の星に願いを重ね、生きるために必要な情報を得てきています。
7月7日は、七夕。星を読み解く天文学について、知りたくなってきませんか。
できれば韓国語や韓国文化つながりで…。
そこで、東洋文庫ミュージアムに行ってきました。
現在開催中の特別展「大宇宙展―星と人の歴史」の案内には、「日本へは、6世紀後半から7世紀初頭に、 朝鮮を通じて中国の暦(こよみ)と天文が伝わりました。人々がどのように天空の動きを理解し、宇宙へのあこがれと好奇心を育んでいったのか、古今東西の様々な資料によってその歩みをたどります。」とあります。
特別展の「朝鮮を通して伝わった」という言葉にひかれてしまいました。
韓国には、東洋一古い新羅時代の天文台「瞻星台(첨성대)」があります。
7世紀につくられた瞻星台は、1962年に国宝第31号にも指定されており、韓国は古くから天文学にすぐれた形跡を残してきている国なんです。
駒込駅から六義園方面に歩いて10分ほどの所にある東洋文庫は、広くアジア全域の歴史と文化に関する東洋学の専門図書館、研究所です。東洋学分野での日本最古・最大の研究図書館で、世界5大東洋学研究図書館の一つに数えられています。
併設するミュージアムは、東洋文庫の蔵書を展示する美術館です。
蔵書数は国宝5点、重要文化財7点を含む約100万冊。和書、漢書、洋書のほか、韓国、ベトナム、梵、イラン、トルコ、アラビア語の書籍を所蔵しています。
まずは、入口すぐのオリエントホールへ。
ここでは、東洋文庫の誕生から今日までの歩み、また蔵書の全容が紹介されています。世界中の言語で記された貴重な古書がならぶ展示ケース。その先には広い庭がありほっとします。
壁面にある『広開土王碑文拓本』と『江戸大絵図』の巨大な原寸大レプリカはみごとです。日本と韓半島とのかかわりも書かれているので、説明や動画もぜひ。
そして、吹き抜けの階段を上がると東洋文庫ミュージアムの象徴的存在「モリソン書庫」があります。
1917年、東洋文庫の創設者、岩崎久彌がオーストラリア人G. E. モリソン博士から東アジアに関する欧文の書籍・絵画・冊子など約2万4千点をまとめて購入、それを展示した書庫です。
この自粛期間にNintendo Switchのゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」で再現されたことで話題となりました。「あつ森」に再現されたのは、モリソン書庫とジョン・グールドによる鳥類図鑑『アジアの鳥類』から、5点の画像。100年以上の時をこえて、ゲームに再現されるなんてびっくりですよね。
モリソン書庫の先が特別展を中心とした展示室です。急に狭く薄暗くなるのが神秘的!
天文学が誕生した古代オリエントの精神文化から始まり、中世イスラム世界とヨーロッパの天文学、中国の天文学概略へと続きます。ヨーロッパの書籍は挿絵が細部に至るまで美しく、「プラウ大地図帳(1664)」の観測装置などからはロマンを感じます。
中国の殷から元の歩みをたどる展示には、書籍のほか甲骨卜辞片や天文図が。甲骨卜辞片は、干ばつや凶作など天候に関する占いで使用したもので、日食・月食などの記載も残されているそう。世界史の教科書から飛び出てきたようなものばかりが並び、懐かしさを持って拝見しました。
日本の天文学史(古代、中世)のコーナーには、『日本書紀』、『和名類聚抄』、『明月記』が並んでいます。韓半島とのつながりを感じる資料もこちらに。
『日本書紀(1610)』には、553(欣明14)年に渡来した百済の暦博士により中国の暦が伝えられたこと、602(推古10)年に百済の僧、勧勒が来朝し、暦本と天文地理書を献上したことが記されています。展示室入口の年表にもあったのですが、「百済」の漢字2文字が確認できたのがうれしいです。
壁に広げられた「改正日本輿地路程全図(1779)」は、正確さが重視され、経緯線を初めて書き込んだ日本図として知られています。天文学にも詳しい地理学者の長久保赤水(1717-1801)が、過去の日本図や旅人から聞いた話など膨大な資料をもとに作成しました。
私たちがよく知る伊能忠敬による実測図は幕府の秘図のため、庶民の間ではこちらが使用されていたそう。
この地図には、韓半島と蝦夷がほんの少し記載されています。
ちょっとだけ見える韓半島には、釜山、東莱、熊川、金昌(昌金?)の地名が見えます。
東莱は、パジョン(파전)や温泉が有名な場所ですよね。
熊川は、昌原市鎮海区(창원시진해구)とのこと。鎮海区域は熊川県と呼ばれ、15世紀初めに倭館が設置されていました。釜山浦とともに日本の商船が入港許可された港の一つで、日朝貿易の拠点となったところです。
熊川は、熊川倭城(웅천왜성)という遺跡に名前が残されています。この城は、韓国史においてカトリック神父が最初に拠点とした場所だったそう。
現在は、毎年4月に韓国最大の桜祭り「鎮海軍港祭」が開催される海軍基地がある街として有名です。
展示品から世界とのつながりが見えたり、学べたりするのは楽しいです。
ハングルで書かれている書籍は並んでいませんが、韓国語を学んでいる方なら思わずウフフとなるポイントも…。
『明月記』は、平安末期から鎌倉初期にかけて活躍した歌人藤原定家(1162-1241)の日記です。
1204年2月に「赤気※」があったなど、天文に関するものもたくさん残されています。※国立極地研究所の調査によってオーロラと判明
陰陽寮の博士と交流のあった定家は、1054年の「客星」(新星・超新星)に関する記録も綴じこんでおり、近年、天文学分野で世界的な注目を浴びました。
それにしても、“超新星”って、ウフフ…。
韓半島を通して伝わった素晴らしきものは、天文学だけではないのですね。
特別展では、世界の人々が星に寄せた思いを感じることができ、静かな時を過ごせるのがうれしい。歴史資料が時を超えて現代の天文学に貢献したお話も貴重です。
天文好きにも東洋史好きにもおすすめのミュージアムです。駒込散策とあわせて訪れてみては。
*東洋文庫のおすすめスポット
知恵の小径:ミュージアムとレストラン「オリエント・カフェ」とをつなぐ屋根付きの小径。両側にはアジア各地の名言が原語(日本語)で刻まれたパネルが並んでいます。どれもすばらしい言葉なのですが、ハングル(旧)は、なぜこちらが選ばれ…。
マルコ・ポーロ(売店):特別展パンフレットや東洋文庫関係の書籍、オリジナルグッズ、大英博物館・台湾中央研究院などのグッズ、ベトナムの工芸雑貨などがあります。工芸雑貨はお手頃価格。また創設者である岩崎久彌が経営していた小岩井農場のクッキーやジャムもあり見ていてあきません。
専門図書館として:韓国祭祀演劇関係資料の端午節(城隍堂祭祀,安孤祭祀、綱渡り、龍王祭)、東莱水営野遊、安東河回別神・安東河回劇の資料も充実。韓半島と日本のつながりを学ぶ資料も豊富です。
図書館は閉架式。手続きは必要ですが、無料で閲覧することもできます。書誌データはインターネット検索が出来るので気になるものがあるときは調べてみてね。
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