Netflixで配信中の韓国ドラマ『ロースクール』
『梨泰院クラス』『愛の不時着』『サイコだけど大丈夫』に続いて、作品の魅力に引き込まれてしまいました！もう、一気見せずにはいられなかったのでご紹介します。
韓国屈指の名門ロースクールで、ソ・ビョンジュ教授が不可解な死を迎える。
法と正義を教える場で起きた前代未聞の殺害事件。犯人は、いったい誰なのか。
事件の現場となったロースクールの教授と学生たちは、複雑にからみついた事件を法という手段で紐解いていく。激しい事実関係争いに陰謀と裏切りの戦い、信頼できる仲間たちの成長、さらに恋愛要素も入った楽しみどころ満載のドラマだ。
主人公は、ロースクールで刑法を教えるヤン・ジョンフン教授。“ソクラテス式問答法”を用いた授業と動じない雰囲気から、“ヤンクラテス”と呼ばれている。
演じているのは、ドラマ「不滅の李舜臣」で主演、また「白い巨塔」などに出演したキム・ミョンミン。法と真実に妥協のない姿勢とやさしい瞳が素敵な人物で、最初に犯人と疑われた。
ここにロースクールの学生たちが加わる。
教え子たちのひとり、頭脳明晰なハン・ジュニは、司法試験2次合格者。警察学校出身でリーダーシップもあり、行動に愛がある優秀な人物。キム・ボム演じる彼も、また犯人に疑われた。
特別選考で入学したカン・ソルAは、法律に関して悔しい思いをした経験から法律家を目指している。低所得家庭のためか苦労が絶えず、同じ名前の学生がいるため、“カン・ソルA”と呼ばれている。
演じるのは、ドラマ『恋のスケッチ 応答せよ1988』のソン・ボラ役で高い評価を得たリュ・ヘヨン。勉強する姿が似合う役者さんだ。時々、びっくりするくらいの変顔で私たちを魅了する。たまに画面を一時停止してみてね。
ハン・ジュニとカン・ソルAにカン・ソルB、ソ・ジホ、チョン・イェスル、ユ・スンジェ、ミン・ボッキ、チョ・イェボム。彼らはスタディと呼ばれる同じ学習グループのメンバーで、良きライバルであり良き仲間たちだ。そして、その誰もが人間的苦悩を抱えている。
ちなみに父親を事件で亡くしたジホは、イ・デヴィッドが演じている。人気ドラマ『梨泰院クラス』は、パク・セロイが転校先の高校でチャン・グンウォンに暴力をふるい刑務所行きとなったところから始まるのだが、そのきっかけとなった青年だ。今回もとても気になる役柄で、パク・セロイの姿も重ねてしまった。スタディの彼らがセロイを弁護したら、どのような人生になるのだろうか。
ロースクールの教授陣では、民法を担当するキム・ウンスク教授も見逃せない。演じるのは、映画『パラサイト 半地下の家族』『焼肉ドラゴン』『タクシー運転手』やドラマ『椿の花咲く頃』など数多くの作品に出演しているイ・ジョンウン。
キム教授は、ヤン教授と学生たちを助けるキーパーソンなのだが、はたして味方のまま終わるのかと気になる。
そして、ロースクールの院長、副院長、コピー室のおじさんや検事、記者たちも強烈な人間くささで登場する。いいドラマ、映画って、主人公だけでなく脇を固める人物も魅力的だ。
さて、舞台の中心がロースクールであることから、法律用語がたくさん出てくる。韓国の陪審員制度や近年加わった法律や制度などもドラマのキーとなっていて、「世の中」を理解するのにも最適。
たとえば、性犯罪者のイ・マノにつけられているGPS。事件のカギの1つでもあるのだが、これは性犯罪者（重罪）をGPS監視しているもので、現在はアメリカ（一部の州）、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、スウェーデンなどで実施されている。
また、カン・ソルAの妹が手にした「性犯罪者身上公開制度」の情報は、性犯罪被害防止のために性犯罪者の個人情報を公開しているものだが日本にはない。両国の制度を比べながら見てみると、ドラマはさらにおもしろくなってくる。
これら法律用語は、画面上に説明が出るので安心だ。
読んでわからなくても、ヤン教授や学生たちがストーリーの中で解説してくれる。とくにイェスルの裁判（エピソード11）場面、ヤン教授もイェスルもよかったなぁ。
そうそう、このイェスルの裁判には陪審員が登場する。
選ばれ方も興味深かったが、彼らの反応に心が留まった。一市民である彼らは、検事や裁判官の説明に今一歩ピンと来ていない様子。そこでヤン教授の登場となり、分かりやすい説明にうなずく陪審員たち。おもわず自分もうなずき、ほっ。
しかし、陪審員の中には、被疑者と自分の体験を重ねてしまい苦しむ姿もみられ、この制度の危うさを感じてしまった。たぶん、韓国に住んでいてもこの考えは持つように思う。
この『ロースクール』は、サスペンスでありながら、「世の中のことを人ごとにしない」という人間愛がストーリーの中で見事に展開されていた。
人は過ちに気づいたときに
どのように正しい道を選ぶのか
誰と力を合わせていくのか
動き始める裁判、絡み合う人間たち…
目撃者、証人が次々に変わり、翻弄されていくヤン教授とスタディのメンバー。
犯人は、いったい誰なのか。
しかし、ストーリーが進むにつれ、犯人が誰なのかということよりも、法によって悲劇の結末を定義の勝利に導いていく過程こそが、重要なのだと気づかされてくる。
ロースクールの厳しい生存競争の中で（スンジェの答案やカン・ソルAの考査結果には自分のことのようにドキドキ）、未来の法曹界を担う若者たちが真心や法と正義に目覚めていく過程を描いたドラマ。
全16話完結。必見です。
そういえば、ジホがチン検事から「見えるものだけを信じるな。実体的真実の追及をしろ」と言われていたけど。（エピソード11）
学内のホールにある「正義の女神像（目隠しをして天秤を持っている）」と何か関係があるようにも思えて、ああ気になる…
タイトルを「今、一気見したい」としましたが、韓国でもシーズン途中です。
結末は、ぜひご一緒に。
＊ロースクール（로스쿨）
2021年4月14日から始まったJTBC水木ドラマ。日本では、Netflix （ネットフリックス）で配信中。公開予定はこちら。時々「古畑任三郎」に見えてしまう“ヤンクラテス”が好き。
第14話 2021年6月2日
第15話 2021年6月3日
第16話 2021年6月9日
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