「民藝運動の父」と呼ばれる柳宗悦(1889-1961)。
濱田庄司、河井寬次郎らとともに「民芸運動」を主唱したのは、今からおよそ100年前。2021年が柳の没後60年ということもあり、昨年から今年にかけて、各地で記念の展示会が行われています。
先日まで、東京・四谷の韓国文化院では「柳宗悦の心と眼―日本民藝館所蔵 朝鮮関連資料をめぐって―」というタイトルで展示会が行われていました。
柳宗悦は、韓国の方にも「日本の植民地時代、光化門撤去が議論されたときに積極的に反対するなど、韓国の民俗芸術に対して深い関心を示した人物」として広く知られています。
この柳が『朝鮮とその藝術』を刊行したのは、1922(大正11)年。2022年は、その100 周年あたり、韓国文化院での展示会はそれを記念して開催されたものです。
さて、展示会の会場は、韓国文化院1階にあるギャラリーMI。
スペースは、230㎡と広くはありませんが、天井までは4mと気持ちがいい空間です。ここに飾られたら「台所のスポンジだって、ヤカンだってよく見えるぞ」といった感じ。明るい雰囲気なのがいいんです。
しかし、今回は「モノを飾る」「見てもらう」のが目的ではなかったよう。
展示コーナーは、「朝鮮との出会い」「朝鮮の友として」、「朝鮮の美を伝える」、「今に続く柳の心と眼」と4つの章で綴られていましたが、その展示の中で柳らが蒐集した白磁などは数点。モノが少ない分、年表や写真、映像が多く用意されていました。
それらを感じることで、柳らの「心の軌跡」に寄り添うようにできていたように思います。
心に留まったのは、第1章「朝鮮との出会い」の石窟庵の写真と解説、第2章「朝鮮の友として」のコーナーにあった『朝鮮の友に贈る書』(1920年)の肉筆原稿です。
石窟庵は、慶州の観光スポットとしてはずせない場所で、私も個人旅行とソウル韓国語学院の体験旅行で訪れています。そのためちょっと懐かしい気持ちに。
また、復刻版やデジタル画像の活字で見ていた『朝鮮の友に贈る書』。朝鮮の心に寄り添おうとした柳の手書き原稿には、ご本人の手で赤鉛筆の文字が加えられています。それがまるで原稿に血を通わせる作業に思えて感動しました。
ちなみに、早くに展示会を訪れていた先生は、会場で流されていた映像が素晴らしかったとおっしゃっていました。この映像は、東京藝術大学の研究室が日本民藝館の資料などを基に作成したものだそう。特に日本の古い家々が映されているフィルムがよかったとおっしゃるのですが。う~ん、見損なってしまって… 文化院の図書資料室で視聴できたらうれしいのだけど。
そうそう、展示にもあった石窟庵は、韓国では遠足や修学旅行でよく訪れる場所です。
修学旅行の響きっていいですよね。なんだか、大人の修学旅行がしたくなってきました。秋の深まるころの慶州・石窟庵なんて最高なのですが、海外旅行はまだ簡単ではないかな…
ならば、日本国内で柳宗悦の「心と眼」に出会いにいくのはいかがでしょうか。
韓国文化院の展示会は終了していますが、日本民藝館での特別展は、11月まで開催中です。民藝館の近くには駒場公園、その一角に日本近代文学館もあります。紅葉も期待できる場所なんです。学びの秋、ぜひ訪れてみては。
*日本民藝館での展示
展示名:柳宗悦と朝鮮工芸 陶磁器の美に導かれて
期間:2022年9月1日~11月23日
場所:日本民藝館(東京)
https://mingeikan.or.jp/
※関連する学院ブログ
https://seoulkorean.jp/article/detail.php/1084/289645
*朝鮮とその芸術
『朝鮮とその芸術』を読みたい方は、国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)で。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/971619
掲載されている中でも、おススメは「朝鮮の友に贈る書」「「失われんとする一朝鮮建築のために」です。写真も多いので見るだけでも楽しい!
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