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古代朝鮮半島との交流に温もり感じる特別展

■2023/02/22 古代朝鮮半島との交流に温もり感じる特別展
 九州国立博物館の特別展「加耶」に行ってきました。今回はpart2です。
 
博多駅からバスで太宰府駅前に到着、ここから太宰府天満宮の参道へ。
鳥居をくぐって3つの太鼓橋を渡り、右に曲がると博物館へ向かうエスカレーターがあります。宇宙への入口のような明かりに照らされたエスカレーターを上がったら、九州国立博物館。流線型の近代的な建物はなかなかの迫力です。
 
さっそく、特別展「加耶」の会場へ向かいます。
入口の看板には「들어가는 곳」と韓国語の表示が。デザイン案の時点では日本語の「入口」の隣に「입구」とあったそうですが、固有語の表記に変えたそう。やわらかな雰囲気でお迎えいただいたように感じました。表現の工夫って大切ですね。
 
今回の展示品は、写真撮影OKとのこと。
東京国立博物館でも写真OKの特別展はありますが、それは数点。うっかりレンズの方向を間違うとシャッターを押していなくても係の人が飛んできます。
今回は特定の美術館蔵を除き、すべてOK。心に作品を焼き付けながら、スマホとカメラでもたくさん撮影してきました。写真を撮るたびに被写体とつながれのがうれしいです。
 
今回、九州国立博物館の特別展「加耶」は、第一部「加耶の興亡」、第ニ部「渡来人」のテーマで展示されています。
 
「加耶」は、3世紀から6世紀にかけて鉄の生産や交易で栄え、日本にも様々な影響を与えてきました。「加耶」とは、一つの国ではなく王国群の総称で、代表的な国に金官加耶、阿羅加耶、小加耶、大加耶があります。どの国も近隣諸国と盛んに交流が行われてきました。これらの国の繁栄は、金や銀の装飾物が物語るといわれています。
 
第一部「加耶の興亡」では、加耶の繁栄を語る上でかかせない鉄製品(甲冑、刀、有刺利器、鉄鉗など)や装飾品のほか、土器などを「3世紀から4世紀」「5世紀から6世紀初め」「6世紀前半以降」と時代に分けて展示しています。
 
韓国の重要な文化財である大加耶の金銅冠をはじめ、鉄製の武具など迫力あるものばかり。短甲の腰部分は、豊かなカーブを描いています。「鉄で栄えた国」であることを造りの美しさから感じずにはいられませんでした。
 
「加耶」の繁栄は、金や銀の装飾品からも理解できるそう。
ホオズキ型の金の耳飾りには、小さな実が揺れたかのような煌めきを感じてうっとり。帯金具や大刀の柄にある精緻な龍や鳳凰、虎の繊細な金の透彫りもとても美しいものでした。
大刀の展示ケースは、壁際ではなく中央部に低く置かれていたので、上からみたり斜めからみたり、いろいろな表情を楽しめたのがうれしいです。
 
一般的に博物館の照明は、室内は薄暗く展示品も平面的に見えることが多いのですが、今回は造形美を味わえるように照明が当たっていました。気のせいかもしれませんが、鉄製品や装飾品、土器では、照明の色も強さも違うような…
 
特に感じたのは、近隣諸国との交流を裏付ける物のひとつの「ガラス容器」です。
光に照らされたガラス容器は、遠く地中海から新羅を経て、加耶にもたらされたものだそう。ガラスの透明感と温もりが、見ているものを地中海の青い海にいざなうようでした。人々や歴史との「つながり」を感じる展示って、いいですね。
 
そして、第二部「渡来人」にも注目です。
ここでは、加耶などから日本列島に渡った渡来人の活躍を紹介しています。
古墳時代の日本は、渡来人がもたらした文化・技術によって生活の質が向上しました。展示ケースには、当時の最先端技術を感じることができる「須恵器(教科書が懐かしい)」や鉄でできた機具、稲作や馬の飼育を示す土器などが並んでいます。
 
特記すべきは、展示品の多くが日本各地の発掘調査で出土されたものということ。
「加耶展」に来たのに日本の出土品…と最初は驚きましたが、当時の生活の様子や衣服などが図で示されていて、文化の形成過程がよく理解できます。第一部と比べ煌びやかではありませんが、学びの多いコーナーです。子どもたちとお話しながら見るのもよさそう。
 
なにより、最後の「第9章 渡来馬と渡来牛」の「埴輪の牧」展示が秀逸です!
Twitterでも話題の仔馬形埴輪たちは本当にかわいく、この場を離れたくなくなります。
 
展示されている埴輪が出土した大阪府四條畷市には、5世紀から6世紀にかけて渡来人たちがやってきました。乗馬の風習も伝わり牧も整備、人々の生活も豊かになったそうです。古墳に仔馬形埴輪が埋められたのは、古墳の主が「馬を飼育することで地域に大きく貢献」した証だそうなのですが…
 
心はすっかり、仔馬の埴輪さんたちに。だって。埴輪の馬さん、牛さんたちが、緑の牧でと~ても気持ちがよさそうなんだもん! また会いたくなってきました。
 
今、『特別展「加耶」公式図録』を手にしています。
加耶をテーマとした本格的な展覧会は、日本で約30年ぶり。そのためか図録内容は充実。情報も新鮮で勉強になることばかりで写真を見ているだけでも楽しい!
ただ、正確なはずの写真からは、展示品を見ながら感じた文化の豊かさや交流の温もりなどがあまり伝わってきません… う~ん。
 
皆さま、お時間があれば博物館に足を運んでみてください。お時間が難しければ、図録を見ながら、歴史の旅をしてみるのはいかがでしょうか。
そして、気になったら韓半島へ。図録をたよりに街歩きなんて、素敵ですよね。今年は、行きたいところ、たくさんできてしまいそうです。
 
※九州国立博物館の公式YouTubeで展示品や牧の様子などを見ることができます。
※当日撮影した写真は、ソウル韓国語学院のInstagramなどでも紹介していく予定です。



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